この本の特筆すべきは、後半の家庭でのデジタルデトックスの具体的な指南です。前半は、様々な論文をもとに、スクリーンを注視することが脳にどんな影響を与えるかを説明しています。
我々はインターネットゲーム依存の外来と入院加療をやっており、その深刻さは肌感覚で理解しています。
病態が完成した場合と、病態が完成する以前にいわゆる、インターネットゲーム依存予備軍の場合かかる治療コストはお金や時間も含めて雲泥の差です。
インターネットゲーム依存の怖さは余りにも生活に密着しているが故に、その影響下から逃れることが非常に難しいということです。
なので本来ならその状態にさせないこと、予防が一番大事なはずですが、予防の大事さはその恐ろしさを経験しそして抜け出したものでないとわからないという矛盾があります。つまり、予防そのものも実は困難さを抱えています。
人は現実逃避を必要とし、スマホは現実逃避のツールとしてはあまりにも優秀です。しかし、現実逃避の結果、その苦しみから逃れられることができたとしても、そこから得られる喜びや慈しみすらえられなくなったとしたらそれは本末転倒ではないでしょうか?
個人としては年に数週間、毎月何日かはスマホやインターネットから離れる日があってもいいと思います。