この本は人に勧められて読んだんですけど、それからどはまりして、今では人生のバイブルになっています。ただ、北極海へは絶版になっているんですね。日本の川を旅するは、読むと失われた日本の原風景がなくなったことが胸が痛くてもう読めないのですが、カナダやアラスカはまだ、この本にかかれたままの風景が残っているので切ない気持ちにはなりません。
カヌーイスト、冒険者みたいな紹介をされますけど、野田知佑さんの本質は”自由人”です。好きな事を好きなだけやっているひとで、人と違うのは文才と語学力と実行力があるというだけで植村直己や登山家とはちょっと違うんですね。そこまで危険なことはしないし、前人未踏とか傍若無人とか破天荒とかの枕詞は本当に似合わない。
外来でよくいうんですけど、生物の本質で大事な要素と必要条件は、生存と繁殖しかありません。そして、人間は繁殖をあきらめれば現代社会ではかなり生物として生きていくのはわりと簡単になってしまいました。ようするにもてるの諦めれば生きるのは簡単だってことです。(野田知佑さんがモテないわけではありませんよ。結婚して教師をやられていたので)
繁殖することを諦めれば割と自由に生活しても誰にも迷惑がかからないのです。配偶者と子どもがいるとそうもいってられないですからね。
そしてこの方はその”自由”というものを体現してみせているのです。
野山に遊び、魚を釣って生きていき、文章を書いて稼いだお金で、空の下、川の麓で火をたき生きていく。
人は落ち込んでもいいし、不安で足踏みしてもいいし、愛されないことに悶々と生きても良いし、すべきや、義務や責任などすてて自由に生きて良いんです。お金に縛られずでもしたいことはやって、誰のものでもない自然のありのままの美しさをひたすら愛でるような生活をしてもいいんです。
もちろん本当の自由は失われて久しいですが、文化や経済や法律に背中をあずけず、DNAや人の素朴さに肩をあずけて生きるのもできると思えば気持ちはひたすら楽になります。
小さい頃から、わりと人と違っていて生きるの大変だなと思い続けていたので人と同じようなことはできない苦しみをずっといだきつづけてましたが、野田知佑さんの生き方はもっと世界は広いしもっと自由に生きていいんだよと教えてくれるようです。
本当に大好きでなんども読んだ本です。
私もすべて失う日がきたらカナダかアラスカの荒野で魚と動物とブルーベリー鳥ながら死ぬまで生きようと思ったりしていて、あれ?それってなんか楽しそうだな、なにも失っていないなと思え未来に対する不安がなくなります
自由と生きる事について教えてくれた大事な本です。