総論にはいる前に、曖昧な用語の定義をやっておかないといけないと思います。別に拘りがあるわけではないんです。曖昧な言葉の中には人間がもつバイアスが多分に含まれていて、これを知らないと状況の本質がつかめなかったりして、結局は同じところをグルグル回ったりすることに繋がります。
まずは、ストレスですね。
ストレスってなんでしょうか?
厚労省のストレスの項目について貼っておきます。ここではこのサイトと同じ定義”外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態”を使います。
mhlw.go.jp/kokoro/first/first02_1.html
ストレスは個人差が大きい
大体嫌なこと 苦手な事、ストレスだらけの現代社会とか、すごいふわっとしたイメージで語られます。この言葉の扱いが難しいのは”個人差がある”というか”個人差しかない”という点です。
今から50km走ってこい、走らなければ罰をあたえる。走りきったら褒美じゃと繰り返し要求する人がいるとします。
といわれたら多くの人はストレスを感じるでしょうか?感じないでしょうか?
でも、マラソン選手だったら。あの人達はそこまでストレスに感じているでしょうか?
現象に応じて物理的ストレッサー、科学的ストレッサー、生物学的ストレッサー等ありますが、ここでは心理的ストレッサーについてのみ議論します。
ブラックボックモデルで考えましょう。
「50kmはしれ」→「いやだな。断りたい」「腹が立つ」
癖があって思い通りにならないDJコウと指揮者フク。 自律神経。
勝ってな印象なんですが、クラシックってモーツアルトとベートーヴェンで派閥がある気がしませんか。氷と炎みたいんだなって。私はベートーヴェンが好きです。 ナルトでいうとナルトかサスケって感じですね。
バラードが好きな人もいれば激しいロックが好きな人もいると思います。今は好きな時に好きな音楽を聴けて本当にいい時代ですね。ブレードランナーの原作”電気羊はアンドロイドの夢をみるか”という本の最初のほうにムードオルガンという機械がでてきます。音楽をかけると気分がかわるという機械です。しかも細かく指定できるという。
体にも二人のDJ、指揮者がいます。
DJコウ君と指揮者フク君です。
DJコウはアップテンポの曲が好きです。のりのりでダンスが踊れるような曲が好きです。この音楽を聴くと心臓はドキドキし、呼吸は荒くなり、瞳孔は小さくなり視野が狭くシャープになり、目がさめ、食欲や、トイレに行きたいという欲求は低くなります。
フク君はまったくぎゃくで若者っぽくいうと、チルアウトするような曲。チークタイムのような曲、踊るにしてもゆっくりとした曲をかけます。イメージ的にはクラシックですね。 食事をしたり、トイレにいったり、中には眠たくなる人もいます。瞳孔は散大し、視野はワイドになります。心拍数はさがり、呼吸もゆったりとなります。
これらが自律神経の役割になります。
精神疾患の悩みに自律神経の失調があります。
不眠、息切れ、食欲不振、頭痛、発汗、のどの渇き、便秘に胸やけ
このDJと指揮者は一度にでてこない。基本は交代制だということと、基本いうことを聞いてくれないってことです。
この話題は一節だけだと語り切れないので、別に自律神経の章を儲けます。
ストレスが一定を越えるとDJコウが頑張ってしまう
逃げ出すしかない、戦うしかないとなった時に体には反応が起きます。自律神経のDJコウの出番です。ガンガンのりのいい音楽をかけて心臓を頑張らさせます。副腎髄質からアドレナリンがでて、筋肉が増大し、頭のなかではこの状況を回避、解決するために脳内会議が行われます。いいプランが思いつくかもしれません。 でも、プランが思いつかなかったりするとまっ白になるかもしれません。
そしてアウトプット「いやです。」「・・・・」「うるせーな、お前が走れ」
などの反応がくる。そしてここの部分の反応は個人差があるのです。
なにがいいたいかというと「ストレスが多い現代社会」というのは正確には「様々な刺激が多くそれに対してあまりよくない反応をする人間が多い現代社会」で、 ”外的な要因だけに定義されない”ってことなんです。病も気から、心頭滅却すればってことも確かにあるってことです。
ストレスは必要である
もう一つストレスは精神的にも肉体的にも必要な要素なんですよね。 例えは、”走る”、”歩く”などの運動は人間にとっては必須で、これがないと運動機能はみるみる落ちてきます。これは経験的に理解できますよね。
人間関係におけるプレッシャーも適度であれば前頭葉機能の維持につまり”人間らしさ”の維持や成長に必要です。 すごい僻地に少数で住む人間は挨拶する習慣を失うそうです。また、社会的引きこもりの方々も長年経過を追うと計画の構築、類推能力などが衰えていくのは観察できています。
北海道に競馬を引退した馬を飼育している牧場があるのですけど、そこでは馬に定期的に運動をさせていました。でないと死んでしまうそうです。
まとめ
まとめです。
- ストレスは個人差が大きく、受け取り方で大きく変わる
- ストレスに対する自律神経の反応はコントロールが難しい
- 適度なストレスは必要である。
私が気にしすぎなのかもしれないんですがね。みなわかっててそんな使い方をしているのがきもち悪くて。
ここを口酸っぱくいうのは、ストレスを軽減する技法はそれこそ無数にあるのにってことです。ブラックボックスの部分を変えれば幾らでも変わる事ができる。のに、外来等で話をすると、すごい偏ったストレス管理技法をやっていて、それが巡り巡って自分に返ってくることも多いのにそれに気がついていないようにみえる。
まあ、それが難しいからストレスがあたかも環境因子そのもののように感じているのかもしれません。
あと個人的に感じることは”世界は加齢を加味して環境を調整してくれない”ってことですね。若いときは環境に適応するのはクジャなくて新しい事が増えるのはおもしろかったですけど、ネットのIDとパスワード、書類の束が指数関数的に増えていくのはなんの拷問だって感じます。
若い人達は楽に感じているのかな?